ガソリンスタンドの屋根が、ほぼ平らな設計になっているのをご存知の方も多いと思います。

ガソリンスタンドの屋根は、一般的に「キャノピー」と呼ばれ、平らな構造が特徴です。
しかし、平らな形状では雨水の滞留や積雪による問題が生じる可能性が考えられます。ガソリンスタンドの建築は消防法で厳格に規定されていますが、屋根の形状に関する具体的な規定はありません。
なぜ、多くのガソリンスタンドが平らな屋根を採用しているのか、不思議に思ったことはありませんか？

屋根が平らな理由

平な形状のキャノピーは、雨水を効率的に排水し日射を遮ることで、燃料の品質を保ち、作業員の負担を軽減するといった多様な機能を備えています。

キャノピーの構造

キャノピーは、雨水を逃す工夫がされています。下から見ると平らな形状をしていますが、上面には緩やかな勾配が設けられています。この勾配により、雨がキャノピーの中央や外側に集められ、配管から排水される仕組みとなっています。
また、冬場の環境にも対応しています。積もった雪は、太陽光で自然に溶けるように設計されています。雪が多い地域では、融雪用のヒーターを設置することで、冬季のメンテナンス負荷を軽減することができます。

コストも削減

キャノピーには、平らなものとアーチ型のものがあります。アーチ型は見た目が良いですが、施工が複雑で時間と費用がかかります。一方、平らな屋根は、シンプルながらも機能的で、コストと設置するための時間が抑えることができます。
そのため今では、コストと工期が短縮でき、雨除けにもなる平らな屋根が主流となっています。また、規格化することで大量生産も可能になり、効率化が図られています。

ガソリンスタンドのキャノピーは、単なる屋根ではなく、安全な給油環境の確保、従業員の作業環境の改善など、多岐にわたる役割を果たしています。
単なる屋根の役割を超え、私たちが安全かつ快適に給油できる環境を作り出す、なくてはならない存在といえます。