近年、企業におけるノルマ達成のために、従業員が自腹で商品を購入する「自爆営業」が問題視されています。厚生労働省は、この自爆営業が、使用者としての立場を利用した従業員への不当な圧力であり、パワーハラスメント(パワハラ)に該当する可能性があると判断し、新たな指針に明記する方針です。
自爆営業とは?
自爆営業とは、従業員が会社のノルマ達成のために自腹で商品を購入したり、不必要な契約を結ばされたりする行為を指し、従業員に過剰な経済的・精神的負担を強いることがあります。これが過酷なプレッシャーとなり、最悪の場合、従業員が自殺に至るケースもあります。
このような状況に対して、厚生労働省は自爆営業がパワハラに該当する場合があるとして、その防止に向けた新たな指針を策定する方針を示しています。
自爆営業の防止へ
「パワハラ」は、以下の3つの要素を満たす場合に認定されます。
・優越的な関係を背景とした言動
・業務上必要かつ相当な範囲を超える
・労働者の就業環境を害する
自爆営業についても、上司から不要な商品の購入を繰り返し求められるなど、過剰な要求を受けた場合、これらの条件を満たすと、パワハラとして認められることがあります。
しかし、現行の法律では、「自爆営業」に関しては明確に規制する法律がありません。そのため、企業における自爆営業は従業員の自己負担による商品購入や契約の強要といった行為が横行し、企業文化として根付いている場合もあります。労働者側からは、このような不適切な営業活動を防ぐために、パワハラ防止法の指針に「自爆営業」の防止を明示すべきだとの声が上がっています。
どのように指針に自爆営業を盛り込むかについては、今後、労働政策審議会(厚生労働省の諮問機関)の議論を踏まえて決定される予定です。
自爆営業は、従業員に対する不当な圧力を伴い、過剰な負担を強いることで、精神的・身体的な健康に深刻な影響を及ぼす問題です。厚生労働省が指針に自爆営業を明記することで、企業はその防止に向けた具体的な対策を講じることが求められるようになります。パワハラ防止法の改正が進むことで、従業員が安心して働ける職場環境の構築が進み、企業の健全な成長にも繋がることが期待されます。