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  • 【ガソリン補助金】7度目の延長、今後どうなる?

    ガソリン補助金いつまで?

    4月末で終了予定だったガソリン補助金ですが、7度目の延長が実施されました。
    電気やガスの補助金は5月末で終了しますが、ガソリン補助金は延長され、脱炭素社会実現の政策方針と矛盾していると声があがっています。
    脱炭素政策とは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」にすることを目指す政策です。地球温暖化対策として、世界各国で積極的に推進されています。

    このガソリン補助金は、新型コロナウイルスの影響で経済がダメージを受け、経済回復を支えるため2022年に一時的な対策として始まりました。原油価格の上昇などで何度も延長されてきました。なぜ、延長が繰り返されるのでしょうか、そこには「トリガー条項」の存在があります。

    ガソリン税の「トリガー条項」とは

    トリガー条項とは、ガソリンの平均小売価格が一定期間以上、上昇した場合に自動的にガソリン税を減税する制度です。2010年に導入されたこの制度は、ガソリン価格の高騰による国民生活への負担を軽減することを目的としています。

    トリガー条項の仕組み

    トリガー条項は、以下の2つの条件を満たした場合に発動されます。

    • ・ ガソリンの平均小売価格が1リットルあたり160円を超える。
    • ・ 160円を超えた状態が3ヶ月間継続する。

    これらの条件を満たした場合、ガソリン税のうち、暫定税率分の25.1円が自動的に減税されます。

    現在、トリガー条項は、2011年の東日本大震災をきっかけに復興財源確保のためとして凍結されたままです。ガソリンの平均小売価格は1リットルあたり160円を超えており、トリガー条項の発動条件を満たしていますが、政府は様々な理由から凍結解除を見送っています。

    トリガー条約の凍結解除が見送られるのはなぜなのでしょうか。

    トリガー条項が凍結解除する場合の問題点

    • ・ 財源の確保
      ガソリン税は国・地方自治体にとって重要な財源になっています。トリガー条項が凍結解除されると、税収が大幅に減少するため、財源確保が難しくなります。失われる国・地方の財源の不足をどう補うかという問題が発生するということです。
      政府は、トリガー条項の凍結解除には、「脱炭素に向けた国際的な流れや、国と地方で合計1兆5000億円もの巨額の財源が必要になるなど課題がある」として、凍結解除について慎重な姿勢を示しています。
    • ・ ガソリンと軽油のみに適用される
      ガソリン補助金の対象となる油種は、ガソリン・軽油・灯油・重油ですが、トリガー条項は、ガソリンと軽油にだけ適用されます。冬場に需要が高まる灯油や、農家のビニールハウスや漁船の燃料類などに使われる重油は対象外となります。そのため、恩恵をあまり受けられない一部の業界からは、新たな支援を求める声が上がる可能性があります。

    ガソリン補助金の長期化での問題点

    • ・ 財政の負担増
      ガソリン補助金は、大きな財政負担となり、長期化すればするほど財政赤字の拡大につながります。
    • ・ 市場価格を歪める
      ガソリン価格の本来の市場メカニズムを歪めているという指摘もあります。市場メカニズムとは、価格が需要と供給によって自然に調整される仕組みです。ガソリン価格の場合、需要が高まれば価格が上がり、供給が増えれば価格が下がるというように、需要と供給のバランスによって価格が決まります。実際、補助金制度導入後の小売価格は制度変更時を除いて、ほぼ横ばいで推移しています。
    • ・ 脱炭素社会の流れに逆行
      ガソリン補助金は、ガソリン消費を増加させ、温室効果ガスの排出量増加につながる可能性があり、脱炭素社会実現の政策方針と逆行しているという指摘があります。

    トリガー条項の発動、ガソリン補助金の延長、どちらにせよ財政の問題が生じます。
    トリガー条項は、ガソリン価格の高騰対策として有効な制度ですが、財源確保やガソリン価格の更なる高騰などの課題があります。トリガー条項の有効性を検証するとともに、代替的な再生可能エネルギーの導入促進などガソリン価格の対策を検討していく必要があります。
    政府は、ガソリン補助金制度の出口として、ガソリン補助金制度の終了とともに「トリガー条項」の凍結解除を引き続き検討していくとみられます。

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