国土交通省は、高速道路の空きスペースなどに荷物用の専用レーンを設ける「自動物流道」を東京~大阪間で導入することを検討しています。これは、物流の効率化と深刻化するトラックドライバー不足の解消を目的とした取り組みです。
最大3.5万台分のトラック交通量削減も期待
自動物流道は、小口の荷物を運ぶ専用レーンを設け、自動運転カートが無人で走行するシステムです。国交省によると、東京~大阪間で導入した場合、1日に最大3.5万台分のトラック交通量の削減が期待できるといいます。これは、渋滞緩和やCO2排出量の削減にもつながることが期待されます。
専用レーンは高速道路の「中央分離帯」「路肩」「地下」のいずれかに設置する案があります。
(参考元:国土交通省-資料「新技術を活用した物流について」より)
技術や費用面での課題も
一方、自動物流道の実現には、技術や費用面での課題も存在します。自動運転技術の高度化や、専用レーンの整備には多額の費用がかかることが懸念されています。
国土交通省は、関係省庁や民間事業者と連携して課題解決に取り組むとともに、今後10年程度での実現を目指していくとしています。
海外でも同様の計画が検討されている
自動物流道は、スイスなど海外でも同様の計画が検討されています。先進国における深刻な人手不足問題を解決する新たな物流システムとして、注目を集めています。
スイスでは、貨物交通量が2040年までに約4割増加するとしていて、トラック輸送では限界があり、配送も各社が個別対応のため非効率な状況です。そこでスイスは、物流専用道として主要都市を結ぶ地下トンネルを建設し、自動運転カートを走行させる物流システムの構築の計画や、新技術を活用した物流形態についても検討しています。
新東名高速道路で自動運転トラック実証実験
2024年度後半からは、新東名高速道路で自動運転トラックの実証実験が開始される予定です。これは、深刻化する物流現場の人手不足への対応と、需要変動への柔軟な対応を目指した取り組みです。事前に需要が予測できる荷物を自動物流カードに流し、需要の急な変化はトラックで対応するなど、物流を柔軟に調整する取り組みも可能にします。
実証実験の結果を踏まえ、実用化を目指します。自動運転トラックの普及により、物流業界の大きな変革が期待されます。