情報発信
  • 【物流】物流の効率化に向け、パレットの規格を統一

    パレットの規格統一化

    トラックドライバー不足は、物流業界にとって深刻な問題です。2024年4月から時間外労働規制が適用されたことにより、輸送力は2024年度には14%、2030年度には34%不足すると推計されており、モノが運べなくなるという現実的な危機が迫っています。これらの課題を解決し、持続可能な物流システムを構築するためには、物流各要素の標準化を実現していくことが必要となっています。

    そこで国土交通省は、荷物を乗せて運ぶパレットの統一規格を定めました。規格は、1.1メートル四方で、厚さが14.4~15センチメートル、最大積載量が1トンとしています。
    統一規格のパレットに切り替えることが出来れば、輸送や積み下ろしなどの作業時間が削減でき、新たに荷物を運ぶ事ができるとしています。

    パレットの役割

    パレットとは、荷物を運搬・保管するための荷役台のことです。一般的には平らな形状で、木製、プラスチックや鉄など様々な素材で作られ、フォークリフトなどの機械で簡単に移動できるように設計されています。

    荷物の運搬効率化
    複数の荷物をまとめて運搬できるため、個別に運ぶよりも作業時間を短縮でき、フォークリフトなどの機械で簡単に移動できるため、人件費や労力を削減できます。パレットを使用することで、荷物の運搬にかかる時間と労力を大幅に削減することができます。また、パレットによって荷物が保護され、運搬中の破損が防がれる効果もあります。

    スペースの有効活用
    パレットに荷物を積み重ねることで、倉庫内の限られたスペースに多くの荷物を収納することができ、スペースを有効活用することができます。

    パレット標準化

    国土交通省の調査によると、54%の荷物が保管用のパレットのまま出荷され、残りの46%は別パレットへの積み替えやバラ積みが行われていることが明らかになりました。これは、せっかくパレット化されているにも関わらず、非効率な作業が発生していることを示しており、パレット標準化の必要性を裏付けています。
    パレット標準化とは、荷物のサイズやパレットの規格を統一することで、物流に関わるすべての工程を効率化することです。パレットの規格を統一することで、積み込みや荷下ろし、運搬を効率化することができます。

    パレット規格統一による物流効率化

    フォークリフトによる荷役の機械化
    異なるサイズのバレットが混在していると、フォークリフトの設定変更や調整が必要となり、荷役作業に時間がかかります。しかし、パレット規格が統一されれば、フォークリフトの設定変更や調整の手間が省け、スムーズな荷役が可能になります。

    自動化設備の導入
    自動倉庫や自動仕分け機などの自動化設備を導入しやすくなります。自動化設備は、人手による作業よりも精度が高く、24時間稼働が可能であるため、物流全体の効率化に大きく貢献することができます。

    トラックの積載効率向上
    トラックに積載できるパレットの数を増やすことができます。トラック1台あたりの積載量が増えれば、輸送回数を減らすことができ、CO2排出量の削減や物流コストの削減につながります。

    倉庫スペースの有効活用
    パレットを積み重ねて保管することが容易になり、倉庫スペースを有効活用することができます。

    統一規格が難しい現場も

    パレット規格統一は、物流業界全体の効率化と持続可能性の向上にとって非常に重要です。しかし、現状では、業界ごとに独自のパレットが使われているケースがあり、これが統一規格の普及を妨げる課題となっています。
    例えば、ビールなどの飲料業界は「ビールパレット」が普及しており、石油化学工業などでは別サイズの「化学パレット」が主流になっています。これらの業界では、それぞれ異なるニーズや事情に合わせて、独自規格のパレットが長年培われてきた背景があります。こうした業界では、標準パレットの導入にはコストや手間が掛かり、切替が難しい状況です。国土交通省は、当面は標準規格の採用が難しい場合は、将来的な導入を期待することにとどめました。

    国土交通省は、パレット規格統一を推進するため、国土交通省はパレットのレンタル業者が、レンタルパレットの共同回収システムの構築を進めます。
    また、異なるパレット規格を使用している事業者が統一規格に切り替えられるよう、作業ロボットや棚の整備などの支援策を検討しています。規格統一の円滑化と物流全体の効率化に大きく貢献することが期待されます。