ロードヒーティングは、道路の凍結を防ぐための加熱システムで、地面に埋めた機器を熱して積もった雪を溶かす装置です。特に雪が多く降る地域や寒冷地で使われています。
道路の下に電気ヒーティングケーブルを設置し、電力で熱を発生させて雪を溶かす電気加熱タイプや、道路の下にパイプを巡らせて温水を循環させ、道路表面を温めて雪を溶かす方法があります。また、地中の自然な熱を利用して道路を温める方法などもあります。
このようなロードヒーティングは、アスファルトを剥がして熱シートを敷き、その上に再度アスファルトを舗装する必要があり、コストと施工時間がかかります。
2024年9月に開催された「ハイウェイテクノフェア」では、首都高速道路ブースにて「発熱する和紙を用いたロードヒーティング」が展示されました。
発熱する和紙を用いたロードヒーティング
和紙にカーボン繊維を織り込み電気を通すことで発熱し、雪を溶かす技術です。この方法は、和紙の特性とカーボンの優れた導電性を活用し、効率的に融雪を行います。
この技術では、アスファルトに幅9mm、深さ7cmの溝を掘り、その中にシートを縦に設置します。施工路面全面のアスファルトを剥がす必要がなく、車輪が通る位置に電熱シートを設置するだけという効率的な方法です。消費電力が少なく、耐水性・耐摩耗性があり、基本的には10年間メンテナンスフリーだそうです。
従来のロードヒーターよりランニングコストが大幅に削減できます。
和紙を用いたロードヒーティングは、北陸や北海道など各地の道路や駐車場で使用されています。首都高でも大雪時にスタックが起った場所、あるいは起こりやすい場所で導入されているようです。
また、ゴルフ場のカート道、農業用ハウス、建物の屋根、オフィスの床など様々な用途でも活躍しているようです。
和紙という伝統的な素材が、こんなにも現代の技術革新に役立つとは驚きです。メンテナンスの手間が減り、コストも削減できるので、環境にも優しく、多くの地域に恩恵があるのではないでしょうか。